2010年05月29日

春秋の争い

最近は商品紹介ばかりて典雅さに欠けております。こうした雅な世界もご紹介。
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 光源氏は豪華な六条院を造営して、広い敷地を春・夏・秋・冬、四季のセクションに分けました。

このなかで春の御殿の女主人は紫の上。隣りの西南に面する秋の御殿は秋好中宮、東北は夏の涼を軸に仕立てて花散里、北西は冬の雪景色にマッチする設計で明石の上が住みます。

 春と秋と、いずれがまさるかという競いは、万葉の昔からありました。秋の季節、紫ののところへ秋好中宮から、こんな歌が届きます。

 心から春待つ園は我が宿の紅葉を風のつてにだに見よ


此方の庭は秋の盛り。紅葉の少ない春の庭にわけてあげましょうか″という挑戦です。

 この歌を受けて、紫の上の方では、年あけてから、春の園への招待の宴を開く。続いて秋の御殿への贈り物には、桜を銀の器に、山吹を黄金の瓶にあしらって、これを持参する童たちは、春の鳥、蝶の衣装をつけるという念入りの趣向でした。秋の挑戦を次の春になって逆襲するのだから、気の長いゲームになります。紫の上の歌は、

 花園の胡蝶をさへや下草に秋まつ虫はうとく見るらむ

今は春。秋の到来を心待ちにしている松虫さんは、花園に舞うきれいな胡蝶までけぎらいなさるかしら

中宮の返事

 胡蝶にも誘はれなまし心ありて八重山吹を隔てざりせば

おたくの庭との間に境界線がなければ、胡蝶といっしょに春の園の見物に行くところでしたのに″

「胡蝶」に「釆てふ」(こちらへいらっしゃい)をかけた技巧の歌です。
posted by ひらたや at 09:02| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月11日

源氏物語聞きかじり2

当時の高貴な方々が乗る「牛車」。乗り心地は別として、葵祭りなどでは美しく飾られて登場します。
この牛車にも、席の上下があったのだそうです!
進行方向にむかって右側が上席なのだそうです。
男女の場合は進行方向に向かって右側が男、左側が女になるそうです。
まるでビジネスマナーの教科書のようです。「有職」というものそれ自体が、当時の宮中ビジネスマニュアルのようなものですから、当然でしょうか。
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もうひとつ、牛車で忘れてはいけないのが「出衣(いだしぎぬ)」です。
これは、簾の下から女性の衣の端を出すことで、一種の装飾です。これによって教養や家柄の度合いも外からはかられたというので、一つのデモンストレーションでもあったのでしょう。

出衣をした車のことを、出車といいます。
屋内での出衣は宮中の晴れの行事に限って行われました。

牛車に「○○家△△様」と書いたりしないところに、平安の雅がありますね。
風俗博物館のサイト
http://www.iz2.or.jp/gisha/gisha.html

に、牛車の画像や種類の解説があります。
posted by ひらたや at 10:27| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月09日

源氏物語聞きかじり1

今年は源氏物語ができて千年ということで、京都の各所でイベントが開催されています。講演も聞かせていただくことが多く、少し源氏に詳しくなりました。ひらたや本店のある宇治市も「源氏物語のまち」ということですので、聞きかじりで源氏物語を解説させていただきます。

まず、源氏物語の原本には3つの系統があります。

1 藤原定家による青表紙本 

2 源光行・親行の父子による河内本

3 上記二系統に含まれない伝本を一括しての便宜的名称(従って共通の性格を持つ一系統の本文ではない)である別本

青表紙本は藤原定家が家中の女性達を動員してを書写させたもので、明月記にその記録があります。

河内本は、光行・親行がともに河内守を歴任しているため河内本の名称がつけられました。
現在青表紙本の最善本とされるのは「大島本」です。

こうして書くと、昔から源氏物語は書籍の形で読まれていたように思われますが、正しい源氏物語の鑑賞は、「絵を見て、物語を耳で聞く」ことなのです。高校の頃に「平安時代の発音を再現した源氏物語の朗読」というテープを聞かせてもらいましたが、生徒が爆笑するくらい今の日本語から遠いものでした。
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宇治といえばやっぱり橋のイメージでしょうか。



 


posted by ひらたや at 23:35| 京都 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする